2022/06/11
ようやく治ったと思ったら、また同じような場所にできている。
食事のたびにしみて、好きなものも食べにくい。話すときにも気になって、なんとなく憂うつになる。
「口内炎くらいで歯医者に行くのも……」と、市販薬でやり過ごしながら、繰り返すたびに我慢していませんか。
もし、そうお感じなら。口内炎は「体からのサイン」であり、ときに「お口の中の環境からのサイン」でもあります。繰り返すのには、理由があることが少なくありません。
この記事では、口内炎がよくできる原因と、繰り返さないためにできること、そして「ただの口内炎」と見過ごしてはいけないサインについてお伝えします。
この記事でわかること
- 口内炎の種類と、それぞれの特徴
- 口内炎を繰り返してしまう原因
- 口内炎ができたときのケアと、予防のポイント
- 歯科医院を受診したほうがよい口内炎の目安
1. 口内炎とは? いちばん多いのは「アフタ性口内炎」
口内炎は、頬の内側や舌、唇、歯ぐきなど、口の中やその周りの粘膜に起こる炎症をまとめた呼び名です。できる場所によって、舌にできるものを「舌炎(ぜつえん)」、唇にできるものを「口唇炎(こうしんえん)」、口の端にできるものを「口角炎(こうかくえん)」と呼ぶこともあります。
よく見られる口内炎の種類
| 種類 | 見た目・特徴 | 主なきっかけ |
|---|---|---|
| アフタ性口内炎 | 白〜黄色っぽい膜におおわれた、丸く浅い潰瘍。周りが赤く、米粒〜小豆ほどの大きさ。もっとも多いタイプ | 疲れ、ストレス、睡眠不足、栄養のかたより など |
| カタル性口内炎 | 粘膜が赤く腫れたり、ただれたりする。境目がはっきりしないことが多い | 頬や舌をかむ、合わない入れ歯や欠けた歯がこすれる、やけど など |
| ウイルス性口内炎 | 小さな水ぶくれがたくさんでき、破れて潰瘍になる。発熱を伴うこともある | ヘルペスウイルス、手足口病などのウイルス感染 |
| カンジダ性口内炎 | 白い苔のようなものが付き、ぬぐうと取れて赤くなる | カビ(カンジダ菌)の増殖。体力の低下、入れ歯の汚れ など |
ふつうのアフタ性口内炎は、多くの場合1〜2週間ほどで自然に治っていきます。一方で、ウイルスやカビが原因のものは、原因に合わせた治療が必要になることがあります。
「口内炎」とひとくちに言っても、原因はさまざまです。くり返す、治りにくいと感じたら、まずはどのタイプかを知ることが対策の第一歩です。
2. 口内炎を繰り返してしまう、主な原因
アフタ性口内炎がなぜできるのか、はっきりとした原因は、実はまだ解明されていません。ただ、次のような要因が重なったときにできやすくなることがわかっています。
原因1:疲れ・ストレス・睡眠不足
「忙しい時期になると口内炎ができる」という方は少なくありません。疲れやストレスがたまると、体の抵抗力(免疫力)が落ち、粘膜の修復も追いつきにくくなります。口内炎が「体調のバロメーター」といわれるのは、このためです。
原因2:栄養のかたより
粘膜の健康には、ビタミンB群(特にB2・B6)が深く関わっています。また、鉄や亜鉛、葉酸などが不足している場合にも、口内炎ができやすくなることがあります。外食や偏った食事が続いたり、ダイエット中だったりする時期は注意が必要です。
原因3:お口の中の小さな傷
頬や舌をかんでしまった、硬い食べ物で傷ついた、歯ブラシが強く当たった――こうした小さな傷が、口内炎のきっかけになります。
同じ場所に何度もできる場合は、歯の詰め物や被せ物のとがり、欠けた歯、合わない入れ歯や矯正装置が、粘膜をくり返し傷つけている可能性があります。この場合、原因を取り除かない限り、口内炎は繰り返してしまいます。
原因4:お口の乾燥
唾液には、粘膜を守り、傷の治りを助ける働きがあります。口呼吸のくせ、加齢、ストレス、薬の副作用などで唾液が減ると(ドライマウス)、粘膜が傷つきやすく、口内炎もできやすくなります。口の中がねばつく、乾いて舌が上あごにはりつく感じがする、といった方は注意しましょう。
原因5:お口の中の汚れ・喫煙
お口の中が汚れていると、細菌が増えて、できた口内炎が治りにくくなったり、悪化したりすることがあります。また、喫煙は粘膜の血流を悪くし、お口の健康全体に悪影響を与えます。
原因6:全身の病気が隠れていることも
口内炎が何度も、たくさんできる場合、まれにベーチェット病などの全身の病気や、胃腸の病気、貧血などが関わっていることがあります。目や皮膚の症状を伴うときや、口内炎の数が多いときは、医科の受診が必要になることもあります。
3. 口内炎ができてしまったときのケア
口内炎ができてしまったら、次の点を意識して、治りやすい環境を整えましょう。
- 舌や指でさわらない:刺激で治りが遅くなります
- 刺激の強い食べ物を控える:辛いもの、酸っぱいもの、熱いもの、硬いものは避けましょう
- お口を清潔に保つ:痛いところは歯ブラシをやさしく当て、刺激の少ない洗口液でゆすぐのもよいでしょう
- しっかり休む:十分な睡眠と栄養で、体の回復力を高めます
市販の口内炎用の塗り薬や貼り薬もありますが、口内炎の種類によっては合わない薬もあります。使い方に迷う場合は、薬剤師や歯科医師にご相談ください。
4. こんな口内炎は、歯科医院へ
ほとんどの口内炎は心配のないものですが、なかには受診したほうがよいものもあります。
- 2週間以上たっても治らない
- だんだん大きくなっている、しこりのように硬い
- 同じ場所に何度もできる
- 数が多い、広い範囲にできている
- 発熱やだるさ、目・皮膚の症状を伴う
- 痛みが強く、食事や水分がとれない
「治らない口内炎」には注意が必要です
口腔がん(舌がんなど)の初期は、口内炎とよく似た見た目をしていることがあります。痛みが少ないことも多く、「そのうち治るだろう」と見過ごされがちです。一般的な口内炎は1〜2週間ほどで治るため、2週間を過ぎても治らないものは、一度歯科医院で診てもらうことをおすすめします。口腔がんは、早い段階で見つかれば治療できる可能性が高い病気です。
「口内炎くらいで」と遠慮する必要はありません。治りにくい、繰り返すといったお悩みこそ、歯科医院でご相談ください。
歯科医院でできること
歯科医院では、口内炎の状態を確認し、種類に合わせた薬の処方などを行います。また、詰め物のとがりや合わない入れ歯など、口内炎のきっかけになっているものがあれば、調整して原因そのものを取り除きます。必要に応じて、専門の医療機関をご紹介します。
当院の院長は、大学病院や総合病院の歯科口腔外科で経験を重ねてきました。お口の粘膜のトラブルも、お気軽にご相談ください。
お口の粘膜や口腔外科の診療については、詳細はこちら:歯科口腔外科をご覧ください。
5. 口内炎を繰り返さないための予防のポイント
① バランスのよい食事を
主食・主菜・副菜をそろえた食事を心がけましょう。ビタミンB2はレバー、卵、納豆、乳製品などに、ビタミンB6は魚、鶏肉、バナナなどに多く含まれています。食事で補いにくい場合は、サプリメントを上手に使うのもひとつの方法です。
② 休養とストレスケアを
口内炎ができたら、「少し休んで」という体からのサインと受け止めましょう。十分な睡眠をとり、生活リズムを整えることが、何よりの予防になります。
③ お口を清潔に、うるおいを保つ
毎食後の歯みがきで、お口の中を清潔に保ちましょう。こまめな水分補給や、よくかんで食べることは唾液の分泌を促します。口呼吸のくせがある方は、鼻呼吸を意識することも大切です。
④ お口の中の「傷の原因」をなくす
欠けた歯や、とがった詰め物、合わない入れ歯は、そのままにせず調整しましょう。定期検診では、むし歯や歯周病だけでなく、粘膜の状態もあわせて確認します。
定期検診やクリーニングについては、詳細はこちら:予防診療をご覧ください。
よくあるご質問
Q1. 口内炎は、歯科と内科のどちらを受診すればいいですか?
A. お口の中の口内炎は、歯科で診ることができます。特に、歯や入れ歯が当たってできる口内炎は、歯科での調整が必要です。発熱や全身の症状を伴う場合や、全身の病気が疑われる場合は、医科の受診をおすすめすることもあります。
Q2. 口内炎は、人にうつりますか?
A. いちばん多いアフタ性口内炎は、人にうつることはありません。ただし、ヘルペスウイルスなどによるウイルス性口内炎は、唾液を通じてうつることがあるため、タオルや食器の共用は控えましょう。
Q3. 子どもが口内炎を繰り返します。
A. お子さまの場合も、疲れや、頬・唇をかむくせ、歯の生え変わりの時期のとがった歯などがきっかけになります。発熱を伴う場合や、口の中に水ぶくれがたくさんある場合は、ウイルス性の可能性もありますので、早めにご相談ください。
Q4. 口内炎の治療は、保険でできますか?
A. 口内炎の診察や薬の処方、歯や入れ歯の調整などは、健康保険の対象です。料金については、詳細はこちら:料金表をご覧ください。
6. 繰り返す口内炎は、ひとりで我慢しないで
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
口内炎は、多くの方が経験する身近なトラブルです。けれど、繰り返すのには、体の疲れや栄養、お口の中の環境など、何かしらの理由があることが少なくありません。
生活習慣を見直すことと、お口の中の「傷の原因」を取り除くこと。この両方を行うことで、口内炎ができにくい状態に近づけていくことができます。
2週間以上治らない、同じところに何度もできる――そんなときは、「口内炎くらい」と思わずに、一度ご相談ください。
名古屋市守山区の鈴木歯科医院では、むし歯や歯周病だけでなく、口内炎などお口の粘膜のお悩みにも対応しています。
ご予約は、詳細はこちら:ネット予約から、またはお電話(052-736-4088)にて承っております。
本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療方針を示すものではありません。症状や必要な治療には個人差があります。実際の治療にあたっては、歯科医師・医師の診察をお受けください。

執筆者・監修者のプロフィールを詳しく見る
院長・歯科医師
鈴木 明(すずき あきら)
愛知学院大学歯学部卒業後、同大学第一口腔外科学講座に入局。大学病院で口腔外科を研修し、名古屋大学医学部での麻酔科研修の後、公立陶生病院歯科口腔外科での勤務を経て、平成3年に鈴木歯科医院を開設しました。
開院以来、地域の皆さまの一般歯科診療に携わり、口腔外科・インプラント治療を中心に研鑽を重ねています。お口全体の健康を見据えた治療を大切にしています。
現在も愛知学院大学歯学部冠橋義歯・口腔インプラント学講座に所属し、臨床・研究・教育にも取り組んでいます。
主な経歴
- 愛知県立千種高校 卒業
- 愛知学院大学歯学部 卒業
- 愛知学院大学歯学部 第一口腔外科学講座 入局
- 愛知学院大学歯学部 第一口腔外科学講座 専攻生
- 名古屋大学医学部 麻酔科研修
- 公立陶生病院 歯科口腔外科医長
- 平成3年 鈴木歯科医院 開設
- 愛知学院大学歯学部 高齢者歯科学講座 研究生
- 愛知学院大学歯学部 冠橋義歯・口腔インプラント学講座 非常勤講師
所属学会
- 日本口腔インプラント学会 会員
- 日本成人矯正歯科学会 会員
- 日本歯科放射線学会 会員
- 日本矯正歯科学会 会員