口腔粘膜疾患|鈴木歯科医院|守山区の歯医者・歯科

口腔粘膜疾患
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口腔粘膜疾患について

口腔内には、多様な病変が発生すると言われております。
当院では、炎症性病変、前癌病変、腫瘍性病変まで幅広く対応し、確定診断の必要があるケースについては病理検査を行い、病理科の医師と協議して確定診断を行っております。
院長は前職の公立陶生病院にて、口腔癌から合併症とこれらの歯科治療全般まで幅広い治療を経験し、当地での開院後は悪性腫瘍の早期発見に取り組んでまいりました。
これらの経験を活かして地域の患者様の舌癌、口腔粘膜癌の早期発見のお役に立てるものと確信しております。

口腔粘膜疾患の原因

口腔粘膜疾患の原因は様々ですが、主に日頃の生活習慣に関係しております。

・タバコの吸い過ぎ、アルコールの飲み過ぎ
・刺激物の多い食事
・歯が欠けているまま放置
・不適合なかぶせ物
・入れ歯の不一致

口腔粘膜疾患の症状

下記のような症状のある方は、口腔粘膜疾患の可能性があります。
「何かおかしいな?」と感じた場合は、お気軽にご相談下さいませ。

  • 口内炎がなかなか良くならない
  • 食事や歯磨きの時に口の中がヒリヒリ痛む
  • 口唇や口腔粘膜に水疱が多数できる
  • 口の粘膜に水ぶくれ様のものができたり、またその部分の水ぶくれがやぶれたりはがれたりして痛い
  • 口腔粘膜にこすっても取れないうっすらと白いスジ状のものがある
  • 舌、頬粘膜、上顎などにこすると取れる白いものがある
  • 舌や頬粘膜、歯肉にこすっても取れないザラザラでこぼこしたしこりがある
  • 口がかわく

病理組織学検査を当院で行えます。

よくある疾患

再発性アフタ

口の中を誤って噛んだり食事などで傷つけたりした覚えがないのに、舌や口腔粘膜に繰り返し痛みを生じる口内炎ができる病気です。また、原因は不明とされております。

治療方法:
当院では殺菌作用のあるうがい薬と抗生剤のような内服薬、ステロイドを含有した軟膏の処方とビタミン剤を併用した治療を行います。

ウィルス性口内炎(ビジュアルでわかる!口腔粘膜疾患の観察POINT (著)川辺良一)

代表的なものは、手足口病、ヘルペスや帯状疱疹がありますが、口腔粘膜の水疱はやぶれるとびらん、潰瘍に移行し、強い痛みを伴って摂食障害を生じる場合もあります。

治療方法:
抗ウィルス薬を投与しますが、場合によっては抗生剤の服用や鎮痛剤、うがい薬を併用することもあります。また、症状が重篤な場合は大学病院や歯科口腔外科への紹介を検討させていただく場合もございます。

口腔扁平苔癬

口腔粘膜(特に頬粘膜)に白いレース状のもようが生じたり、白斑や発赤などが生じたりします。痛みは生じる場合と生じない場合があります。

治療方法:
ステロイド軟膏の塗布やビタミン剤、殺菌作用のあるうがい薬の処方をしますが、場合によっては抗生剤の内服薬を処方することもございます。病変の範囲が小さいケースでは切除する場合もありますが、広範囲のケースは、病理検査も含めて、大学病院や歯科口腔外科への紹介を検討させていただく場合もございます。

白板症

口の粘膜(主に舌の側面や歯肉)に全体的に平坦で薄く均一な白色、または灰白色、平坦や波状ヒダ状敷石状の臨床傷がみられ、こすっても取れない場合が多いです。痛みを伴う場合と伴わない場合があります。

治療方法:
(一般的には切除を行いますが)病理検査を行い、必要に応じて、歯科口腔外科や大学病院に紹介を検討させていただきます。

カンジダ症(P115~116)

口腔カンジダ症のほとんどは、Candida albicansによるものです。これは病原性に乏しい常在菌ですが、ステロイド投与や抗菌薬による菌交代現象、免疫不全症などによる基礎疾患を有する場合、抵抗力の弱い子どもや、高齢者では異状繁殖して発症します。症状としては、頬や口蓋、口唇、舌の粘膜に小さな白苔が多数認められ、白苔は容易にはがれ、剥離面は赤くみえるといったものがあります。また、病変が慢性化すると白苔は剥離しにくくなり白斑となります。舌や口腔内にヒリヒリとした痛みが生じます。

治療方法:
ファンギゾンシロップ100mg/mL、ビタミン剤の投与を行い、殺菌作用のあるうがい薬を併用します。

自己免疫性水疱症(P140~149)

自己免疫性水疱症は、細胞接着に関与するタンパクに対して自己抗体ができるため、接着に異状をきたし、粘膜や皮フに水疱を生じる病気です。粘膜上皮内に水疱を生じる天疱瘡と粘膜上皮下に水疱を生じる類天疱瘡があります。口腔粘膜は上皮とは異なり水疱がそのまま残ることは少ないため、ほとんどの場合ただちにやぶれ、びらん、潰瘍に移行します。

尋常性天疱瘡

口腔粘膜に水疱が生じます。水疱はやぶれやすく、びらん、潰瘍が広がり、ヒリヒリと痛みを伴います。

治療方法:
ステロイドの投与を行いますが、鎮痛剤や抗生剤の内服、殺菌作用のあるうがい薬を併用する場合もございます。

類天疱瘡

主に口腔粘膜や目に水疱やびらん潰瘍を生じ、水疱が尋常性天疱瘡と比べて長い期間やぶれずに認められることがあります。類天疱瘡の中で特に多い水疱性類天疱瘡は体や手足に膨隆した赤い皮疹や緊満したやぶれにくい水疱が多発して口腔粘膜に病変が生じることがあります。

治療方法:
ステロイド内服等の免疫抑制療法が行われますが、軽症例では、ステロイド外用やミノサイクリン、ニコチン酸アミドとの併用内服療法が有効な場合もあります。

歯科金属に関する口腔粘膜病変(P108~P109)

金属製のつめ物・かぶせ物などの歯科金属に接触する類粘膜の部位に病変が存在します。接する部位のみ病変が認められる場合と金属に接する部位以外の口腔、口唇粘膜にも病変が認められる場合があります。

治療方法:
歯科金属を除去することにより、病変の消失、軽減を図ることができます。

薬物反応による口腔粘膜病変

薬物反応によって扁平たいせん様病変(白い斑のレースのような白斑が口唇や舌に現れる)が生じる可能性の高い薬には降圧剤や利尿剤があります。内服開始から症状発現までの期間が長いのが特徴です。またその多くは皮フ病変を合併します。

治療方法:
内科の医師に薬を変えてもらうように相談していただきます。

急性壊死性潰瘍性歯肉炎(ワンサンアンギーナ)

歯肉の壊死と潰瘍を主徴とする急性炎症性疾患です。また、歯肉が出血しやすく痛みも伴い、口臭が強くなることもあります。原因としては重度の疲労や栄養不足、白血病やHIV・ステロイド長期使用などで、免疫力が低下している時も起こりやすい傾向があります。

治療方法:
抗菌薬、うがい薬の処方、専門的な口腔清掃を行います。
①急性壊死性潰瘍性歯肉炎の治療としてはまず歯科医院で優しく専門的な口腔清掃を数日間かけて行います。
②自宅ではタバコや辛い食品はさけて、丁寧で優しいブラッシングをしてください。消毒用のうがい薬を用いてうがいを行っていただきます。
③痛み止めや抗菌薬を服用していただきます。

接触性口唇炎

臨床的には浮腫と発赤が特徴であり、口角口唇にブツブツや皮めくれ、ただれ、出血などもみられます。原因としてはリップや口紅、歯磨き粉、歯科治療に関連する器具、化粧品、歯科用金属、ガム、食品(キウイ、やまいも、いちじく)などです。

治療方法:
症状を消失させるためには、原因となりうるものの使用を一切中止していただきます。
そのうえでワセリンなどの保湿剤の塗布を行い、ステロイド軟膏を塗布します。

注意:
薬用リップクリームや非ステロイド抗炎症外用薬はかえって症状を悪化させるため、使用しないでください。

アレルギー性口内炎

頬粘膜や口唇、舌などに白い潰瘍が現れて、その周囲が赤く腫れ上がり、痛みを伴います。原因としては薬剤や食べ物、歯科用金属などが挙げられます。また、アレルギー反応は即時型と遅延型の2つに分類されます。
即時型とは、抗原が取り込まれて、数分から1時間以内に発症し、口腔内に留まらず、全身に皮膚症状が出たり、高熱を伴ったりして重篤な症状になることもあるため、原因の物質を早めに取り除くなどの処置が必要となります。

治療方法:
・うがい薬、ステロイド軟膏の処方を行います。
・原因となる食品や薬物をすぐに中止していただきます。
・全身や皮膚、眼やのどなど口腔領域外にも症状がある場合は、他科との協力が必要となるため、大学病院などを紹介させていただきます。また、口腔内の歯科用金属が原因である場合は金属成分を分析・特定し、口腔内からその金属を除去し、代替材料への置き換えを行います。

口角炎

口角炎は口角部に生じる炎症の総称であり、片側あるいは両側の口角部に生じる主に紅斑を伴うびらんを主症状とするものであり、出血や瘍痛を伴い、開口障害をもたらすこともあります。原因としては全身的にはビタミンB2不足、貧血、カンジダ症、糖尿病、シェーグレン症候群などが考えられます。また、局部的には食べ物、リップクリーム、化粧品、歯磨き剤などです。

治療方法:
・細菌の感染が疑われる場合は抗菌薬を用います。
ビタミン剤:口角炎の原因となる栄養不足を補う薬です。
ステロイド剤:口角炎の炎症を和らげる薬です。
リセリン:刺激から口角を守る薬です。

舌の疾患

溝状舌

舌の所見:
舌背部を中心に生じる亀裂性の病変で、症状としては、舌痛、味覚異常を生じることがあります。

治療方法:
うがい薬、消炎鎮痛剤、抗生剤、漢方薬の投与を行います。

舌尖の発赤

舌の所見:
舌の先端が他の部分に比べて赤みを増している状態を示します。原因としては辛いものやお酒、刺激物のとりすぎが挙げられます。

症状:
歯科関連の症状としては、口内炎、舌炎、口腔乾燥症、舌のヒクヒク感を感じることが多いです。

治療方法:
うがい薬、鎮痛剤、漢方薬が用いられます。

平滑舌

舌の所見:
舌に苔が全然みられない状態で、舌乳頭が形成されていない舌のことをいいます。一般的に貧血の症状を呈している場合が多いのですが、慢性的な胃腸機能の低下が生じている場合にもよくみられます。

症状:
口腔乾燥や味覚障害、舌のヒリヒリ感がみられます。

治療方法:
ビタミン剤、舌の炎症を抑える薬、だ液の分泌を促進する薬、漢方薬を処方します。

地図状舌

舌の所見:
舌苔が数箇所にわたりはがれており、地図状の斑紋を生ずる疾患です。日によって病変の位置や形態が変わることもあります。

症状:
接触痛や辛いもの、酸っぱい食べ物が非常にしみる症状があります。

治療方法:
抗真菌薬の投与、うがい薬、接触痛があれば、ステロイド軟膏を処方します。場合によっては漢方を処方することもあります。

口腔乾燥症

舌の所見:
口腔粘膜の乾燥を主症状とした病変をいい、だ液分泌の低下に伴い、口の中のネバネバ感、ヒリヒリ感、パサパサ感がみられます。

治療方法:
粘膜に炎症がある場合は消炎や殺菌作用のあるうがい薬が処方されます。また、パサつき感の強い場合は、保湿ジェルを処方することもあります。
また、シェーグレン症候群や放射線による口腔乾燥症の場合は、だ液分泌改善薬の処方、場合によって漢方の処方をします。

舌痛症

舌の所見:
舌尖部や舌辺緑部にヒリヒリする痛みや灼熱感を主訴としますが、舌自体には特徴的な異常がみられないことが多いです。また、半数以上の方が、舌痛症に伴って、口の乾燥や味覚異常感を訴えます。

治療方法:
鎮痛剤や殺菌作用のあるうがい薬、漢方の処方があります。また、食いしばり、不正咬合や不良補綴物がある場合は、これを改善させる治療を行います。口腔乾燥症のある方には、だ液腺マッサージの指導やだ液分泌剤の処方をします。

シェーグレン症候群

シェーグレン症候群とは

シェーグレン症候群とは、外分泌腺が障害をうけることで、口腔内や目が乾燥するという症状を主とした全身性、自己免疫疾患です。好発年齢は50代で女性に多いことがわかっていますが、原因は不明で遺伝や環境因子が考えられております。

治療方法:
シェーグレン症候群の治療は薬物療法、口腔乾燥症状改善薬、だ液分泌促進剤とだ液腺マッサージの指導及び口腔内保湿剤の処方を行います。

舌腫瘍(良性)

口腔内、舌にできる良性腫瘍として、比較的多いのが、血管腫乳頭腫、リンパ管腫などです。

症状:
多くの場合、自覚症状がありませんが、細菌感染によって腫れや痛みが出ることがあります。症状としては、顔・口唇・頬粘膜の腫れ、口が開きづらい、唇や舌のしびれ、異物感、しこり等があります。

治療方法:
基本的には切除を行い、落ち着くのを待ちますが、範囲が大きく切除後に機能障害が予想される場合は大学病院に紹介をさせていただきます。また、経過観察の場合、1~2ヶ月の間に急に大きくなってきたり、痛みや異物感、しびれなどの症状が出たり、表面形状が著しく変化してきた場合は、早めの受診をお願いします。

口腔内悪性腫瘍(上顎癌・下顎癌・舌癌)

舌癌は舌の上皮細胞が癌化したもので、典型的な初発症状は舌の側緑にできる硬いしこりや口内炎とよく似ております。初期は痛みを伴わない場合が多いですが、歯に当たる際に、痛みを伴ったり、出血したりすることもあります。通常、自然治癒することはなく、進行するに連れて、症状が悪化します。
一方、口内炎は強い痛みを伴う潰瘍が、口の中のさまざまな部分の粘膜にでき、舌に発症することも多くあり、1~2週間で自然治癒します。

  • 口内炎が2週間以上たっても改善しない
  • 舌の粘膜にただれや赤い斑点がある
  • 口内炎とその周辺の境界線がはっきりわからず、しこりや腫れがある

このような症状がある場合、一般的な口内炎ではなく、舌癌や他の病気が疑われますので、病院受診をお願いします。

舌癌の治療:
舌癌あるいは舌癌の疑いと診断がつけば、CTやMRIなどの画像診断、病理検査を行い、大学病院に紹介状を書きます。また、腫れや痛みなどがある場合は、抗生剤や鎮痛剤、うがい薬の投与を行う場合もあります。

粘液のう胞

粘液のう胞はだ液腺で作られただ液の排泄障害によって、粘膜下にだ液が貯留し、のう胞を形成するものです。好発部位は上下口唇の粘膜舌下面に多く認められ、有茎性の直径5~10mm程度のものが多いです。

通常は透明感のある紫青色の水疱性病変として認められますが、深在性のものは、ピンク色を呈します。痛みの症状を伴わないため、放置させることが多く、容易に機械的刺激で破損しますが、再発することがほとんどです。

治療方法:
原因となる小だ液腺と同時に切除をし、抗生剤、鎮痛剤、うがい薬を処方します。また、広範囲であったり、切除後、機能障害が予想されたりする場合は、大学病院、あるいは大学病院の歯科口腔外科に紹介させていただきます。

ベーチェット病

ベーチェット病は免疫の異状によって引き起こされる病気です。ほとんどの患者さんの初期症状に繰り返す口内炎がみられます。また、皮膚の症状としては、すねに痛みをとも合う赤い発疹や顔や首、背中にニキビのような発疹が出ます。また、外陰部潰瘍や目のただれ、充血、見えにくさなどの症状も挙げられます。原因としては、ベーチェット病の原因は明確には解消されていませんが、遺伝的素因と環境因子などが挙げられます。

治療方法:
口腔内の口内炎に対してはテトラサイクリン系抗菌薬非ステロイド系抗炎症薬などが用いられます。また、病変の発病部位によっては眼科、皮膚科、内科などの受診が必要となりますので、大学病院や大きな病院を紹介させていただきます。

咬傷

咬傷は噛み合わせの異状や義歯の不適合また誤って口の粘膜を噛んでしまう、いわゆる機械的損傷です。

治療方法:
出血がなければ創面の清掃消毒を行い、出血があれば止血処理(場合によっては縫合処置)を行います。また、原因となる歯や義歯があれば、合咬調整や削合を行います。